
ひっそりと佇む日本家屋。ここは、かつて愛新覚羅溥傑とその妻 浩と半年間暮らした家だ。一歩なかに踏み入れると、80年間、時が止まったままのような奇跡の空間が広がっている。

平屋建ての決して広くはない家だが、そこかしこに見られる和の意匠は、心を落ち着かせ、安らぎを与えてくれる。すぐ近くに交通量の多い大きな道路が走っているが、とても静かだ。戦前は、もっともっと静かだったんだろうな。
ここでの暮らしが二人の幸せの絶頂で、その後に彼らに起きる出来事や行く末を思うとちょっと切なくなる。

書家としても著名であった溥傑の書も飾られている。ここにあるのは複製品で、本物は郷土博物館にあるらしい。胸を打つのは、浩が亡くなってから溥傑がここを訪れて、ここでの半年間が一番幸せだったと述懐する文章の展示だ。思わず涙腺が切れそうになる。政略結婚だったけれど、本当に愛し合っていたんだなあと痛感した。

硝子戸の廊下は、中庭がよく見え、明るく美しい。こんなところに着物で住めたら、どんなにか素晴らしいことか。

奥の部屋だけ洋間になっている。ここには、二人の幸福だった時代の写真が飾られている。どんなに幸せだったかは、その写真に写された表情でよく分かる。

中庭は、今もよく手入れされている。



離れは、茶室になっている。
ここは、これからも度々訪れたい。