小樽芸術村のメイン館。規模は小さいが、素晴らしいコレクションで、この美術館のためにまた小樽を訪れたいと思った。
建物は、旧北海道拓殖銀行小樽支店。1923(大正12)年の建築で、小林多喜二もここで働いていたそうだ。拓銀が破綻してから、ホテル・ヴィブラント・オタルとして宿泊施設だったこともある。泊まってみたいなあと思っていたのだが、かなわず閉業してしまった。ネットを検索してみたら、宿泊した方のブログ記事が、ここやここに残っていた。銀行のホールを使ったレセプションやカフェが素敵だ。やっぱり、泊まってみたかったなあ。
現在1階のホールは、ルイス・C・ティファニー ステンドグラスギャラリーになっている。あの宝石で有名なティファニー創業者の息子で、宝飾デザイナーでもありガラス工芸作家。このステンドグラスギャラリーだけ撮影可能と小樽芸術村を周るとステンドグラスの写真ばかりになっちゃう。(笑)
上記のホテル時代に宿泊されたブログ記事の写真と比較すると、ステンドグラスで壁を作ってしまい、銀行時代のホールの姿がちょっと台無し。ここはそのままレセプションやカフェとしてあの空間を維持して欲しかった。
そんなちょっとした落胆を胸に上層階の展示室に行くと、あまりの素晴らしいコレクションにびっくり。4階の日本画のコレクションには、東山魁夷、梅原龍三郎、棟方志功、岸田劉生、川合玉堂、鏑木清方、横山大観、伊藤若沖、加山又造、片岡球子、黒田清輝、平山郁夫、円山応挙、安井曾太郎などなど、ここは小樽じゃなくて東京なんじゃ?と思ってしまうほどの充実ぶり。
3階の洋画コレクションは、ジョルジュ・ルオー、ベルナール・ビュッフェ、モーリス・ユトリロ、藤田嗣治などこれまたびっくり。よくぞこんなに集めたなあ。ニトリグループって財力あるのねえ。そりゃそうか。
2階の企画展では、山下清を特集しており、これも嬉しくなっちゃった。高村光雲の彫刻も充実しており、また日本刀や現代美術、浮世絵、陶器も展示室いっぱいにこれでもかと陳列されている。
正直、館の規模的にそれほど期待していなかったのだけど、展示作品のあまりの充実ぶりに驚いた。まあ札幌の道立近代美術館に比べると大きなサイズの作品というのはなかったけど、逆に有名作家の見たことのない作品があって貴重だった。もともとニトリの社長室や役員室、応接室や社屋のロビーに展示するために集めたのかしら?(笑)
今回、時間がなくてちょっと駆け足だったけど、これはまたじっくり訪れたい美術館だ。