薬師寺 <奈良> 凍れる音楽の国宝・東塔と平山郁夫画伯の絵画に圧倒

19世紀の美術史家フェノロサが凍れる音楽と称した東塔以外は、昭和平成建築のオンパレードで、まるで映画のセット。でも、伽藍の配置がよく分かり、国宝の仏像もたくさんあるので訪れる価値はある。

創建730年、奈良時代から変わらず佇む国宝の三重塔を囲むように再建された伽藍の空間は、映画のセットのよう。薬師寺でお坊さんの面白い話を聞くというのは、修学旅行の鉄板コースだったけど、今もそうなのかな?そうした団体が皆無で人がまばらだと、映画のセットのようだけど、贅沢な空間に古に思いを馳せることができた。

屋根は六重になっているけど三重塔。他の伽藍がどれも朱色に再建されたので、この塔だけ黒く、独特の存在感。

 

昭和56年(1981)に再建された西塔。もともと東西に二つの塔を建立した双塔式伽藍だったので、やはり二つ並んだシルエットがいい。赤と黒の対比もかえってユニークになったかも。

 

昭和51年(1976)に再建された金堂。堂内に国宝の仏像や台座、限定公開の吉祥天女画像が安置されている。どれも歴史や美術の教科書でも有名。

 

中央奥ににあるのが、平成15年(2003)に創建当初の規模で再建された大講堂。

 

西僧坊では、水煙が展示されていた。これだけ写真撮影可能だった。隣の再建された食堂(じきどう)には、故平山郁夫画伯の弟子である田渕俊夫画伯が描いた御本尊・阿弥陀三尊浄土図を中心に全長50mにわたる美しい14面の壁画が見られる。現代美術館のようなモダンな内装にちょっとびっくり。

 

こちらも昭和に再建された伽藍で中心伽藍からはちょっと離れたところにあるのだが、ここは訪問必須。

なぜなら平山郁夫画伯の絵画「大唐西域壁画」の展示されているのだ。平山画伯の実物の美しく深淵な絵は、目の醒める岩絵の具の色に毎度圧倒される。もうこれだけで感動、ここまで来た甲斐があったあと嬉しくなる。Webサイトの絵や本の写真では絶対に伝わらないこの平山画伯の絵の荘厳な美しさは、絶対に直に見ないとね。全伽藍が拝観できる共通券を買うのが絶対いいよ。ここを見ないで帰るなんてもったいなさすぎる。

 

yakushiji.or.jp