BSで小津安二郎の「
」がやっていた。小津の作品の中では地味なので、名画座でもなかなかかからない。僕も劇場で観たのは一回だけ。
とある一家の隣近所の普通の話。なんの事件も起きず、ものすごい展開もなく、ただただ淡々と日常を捉える。でもそれがとっても魅力溢れ面白い。
昭和30年代の新興住宅地でテレビを買ってもらいたいために無言という抵抗を続ける子供達の話が中心。これには、大人たちの「お早よう、良いお天気で、ご機嫌いかが」などと意味のない余計な会話の子供からみたアンチテーゼにもなっている。 しかし、それが本当の恋心を言えない恋人たちのラストシーンになんとも言えない余韻を与えて秀逸だ。
弟役の子役の演技が最高でとっても可愛い。 「東京物語」や「晩春」など観終わったあと、やるせない切なさで涙にくれるのではなく、笑って笑って最後も幸せな気分になれる隠れた名作だ。