さらば、わが愛 覇王別姫

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NHK BSでやっていたので、久しぶりに鑑賞。 日本軍の侵略、戦争と辛い時代を背景にした京劇役者の愛の物語であるが、もっとも過酷で残酷なのは文化大革命時代の場面だ。愛や芸術に対する信念すらも踏みにじってしまう裏切りの吐露は、人間として生まれてきたことを後悔するほど強烈。このシーンは、何度観ても胸をえぐられる。

原作にない、冒頭の6本指の主人公の指を1本切断する場面は、少年から女形になることを印象づけさせる男根切断のメタファーになっていて、娼婦の母を持ち男女の汚れた愛を見て育った少年は、京劇「覇王別姫」の女形の王妃として兄弟子を愛してしまう。

レスリー・チャンチャン・フォンイーコン・リーの演技は、圧巻。特に愛と憎悪と裏切りが入り混じる表情には戦慄すら覚える。子供時代の子役の演技も驚くほど素晴らしい。