訪れず度に変わらぬ姿で出迎えてくれるのが奈良の魅力だ。東京の景色はあまりにも変化が激しすぎる。
朱色の社殿は、青空に映える。木々の緑と相俟って、とても清々しい気分。
中門の左手前に聳える社頭の杉の木は、樹齢800年から1000年とのこと。約700年前鎌倉時代後期に製作された『春日権現験記』には幼木の姿で描かれているとのことで、その生命力と現在の威風堂々とした姿が圧巻だ。
釣燈籠は、一般の方より寄進されたもので、よく見ると寄進した人や団体・会社の名前が入っている。それぞれにデザインも凝っていてそれを見ながら回廊を進む。
境内にある藤浪之屋では、万燈籠再現というテーマパークのアトラクションのような施設もある。春日大社には、平安時代から現在までに奉納された燈籠がおよそ三千基あり、年に3回その全てに灯りが灯る。その姿をいつでも疑似体験できるのだ。鏡も効果的に使われていて、とても幻想的な世界に浸れることができる。
春日大社の祭神、武甕槌命は鹿島神社(茨城県)から神鹿に乗ってってやってきたと伝わるため、鹿は神の使いとして古くから手厚く保護されている。
落語好きとしては、「鹿政談」を思い起こしてしまうね。