ノマドランド <TOHOシネマズ日比谷>

こういう映画70年代にはたくさんあったな。懐かしい雰囲気。「ファイブ・イージー・ピーセス」とか思い出した。

f:id:kuri_bo:20220101124431j:plain

最初、ドキュメンタリー映画みたいと思ってしまったけど、主演のフランシスと助演男優以外は、すべて実際のホームレスの人だった。そのリアルな迫力がすごい。エンド・クレジットが、フランシス以外、役名と本名が一緒なのが、ずっと流れる。

この映画が描くのは、高齢者でホームレスとなり(自ら選んだ?)、季節労働者として、キャンピングカーで徘徊する人々。さらりと台詞でそれぞれの人生が語られるけど、そこは「ファイブ・イージー・ピーセス」と比べると人物描写は、それほど上手くなく、感情移入もできず、その人が生きてきたおそらく辛い人生も見えてこない。

ただ、現在の辛さと、その中でも互いに助けあって生きている様は、ぐさりと胸に突き刺さる。 放浪の生活から抜け出せず、むしろそこに人生の終焉を見出していく過程がアメリカの大自然の中でゆったりと描かれる。

展開も結末も、70年代の映画を見慣れていると、予想通りなんだけど、久しぶりにアメリカ映画もまだまだ捨てたもんじゃないと思える作品だ。フランシスの前作「スリービルボード」よりは、遥かに今作の方が好き。

 

TOHOシネマズ日比谷にて。

 

 

同じ監督作品のこちらの方がもっと好き。