鈴本夜席・主任・志ん陽

寄席には随分通っているけど、今夜は、特別で素敵な夜だった。

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仕事を切り上げて、なんとか最終日の志ん陽師匠がトリを飾る芝居へ。 菊之丞 「紙入れ」 翁家社中 太神楽曲芸 歌奴 「好きと恐い」 正楽 紙 切り 線香花火・志ん陽師匠・蝉時雨・盆踊り 志ん陽 「粗忽の釘」 どの師匠も素晴らしい高座。太神楽も久しぶり、安定の技は何度見ても目の覚める鮮やかさ。 トリの志ん陽師匠は、明るく楽しい「粗忽の釘」。どの登場人物も豊かな表情と仕草で可笑しくてたまらない。ファンだけが来る独演会もいいけれど、様々な観客がいてネタも生物な独特な雰囲気の寄席はやはり特別な空間を作りだすなあ。

ネタの後、きっとあると思っていた志ん陽師匠の寄席の踊り。すんなり入ると思いきや、師匠から「本日、お囃子のお師匠さんが寄席の定席を卒業されます」と舞台へ呼び出す。舞台袖で噺家や芸人を支えて35年。今夜は、舞台のセンターで最後の演奏。その脇で志ん陽師匠がかっぽれを踊る。なんという粋な計らい。演奏後、志ん陽師匠から花束贈呈。涙が出ちゃう。

なんとも心地よい余韻に浸りながら、寄席を後にした。